単身赴任生活を決意した理由

単身赴任の呟き
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2022年2月某日、北海道旭川市。

仕事も暇な冬の寒い日、窓の外にしんしんと降り続ける雪をぼんやりと眺め、ああ、今日も帰ったら雪はねかぁ…、などと思いながら事務所で珈琲を飲んでいた時。なかなか神妙な顔をした上司に呼び出された。何かと思えば、札幌への転勤の打診であった。

僕は札幌には大学生活で4年間住んでいたが、卒業後は地元での就職を希望しそれから十数年、ずっと旭川に住んで暮らしてきた。

働いて、妻と出会い、結婚し、家を買い、猫を飼い、なんとなく自分の幸せのかたちというものが分かってきた来た頃、そして3匹目の子猫を迎えた頃、突如持ち上がった転勤の話。今までの生活がガラリと変わるような、ちょっとした人生の岐路に立つこととなったわけだ。

他の人はこういう時に迷ったりするのかどうか知らないが、僕の場合はというと、ほぼ即決で単身赴任を決めた。

その理由としてはー

第一に、仕事がもっと面白くなりそうだから

僕が勤めている会社では、上を目指すためには転勤有のコースを選ぶ必要がある(まぁ古い考え方の会社だ)。今より上の役職を狙うのであれば、必ず転勤はついてまわるシステムだ。

これは自分の人生に何を求めるかというような話にもなるわけだが、幸いなことに僕は仕事が大好きで毎日楽しくて仕方がない(そりゃあもちろんツラい時もあるけど)。

簡単に言ってしまえば営業職だが、毎日何かしら昨日と違うことや新しい挑戦をしているし、創造性が試され、それを形にして結果に出すことができる仕事だ。外勤や出張の際には(やることをやっていれば)ある程度は自分の好きに時間を使えるし、自分のペースで働くことができている。そこそこ取引先ともいい関係を築けてもいるし、嘘かと思われそうだが(誰にか知らないが)やりがいも感じている。

そして役職が上がればもっと大きい仕事に深く関われるのなら、それは是非やってみたい、と常日頃から思っていた。というわけで、転勤を受け入れての出世コースは、以前からやや意識していたことでもあったのだ。

第二に、札幌が好きだから

前述したように、札幌には学生時代に4年間住んでいたが、青春時代を過ごした場所でまた生活するというのも悪くないと思った。旭川と比較すると、それはもうかなりの都会になるわけで、美味しい店、お洒落な店は、もう数えきれないほどある。何しろ大きい街だ。新天地での一人暮らしは大変だろうが、一方でプライベートでの張り合いはありそうだ、と思った次第である。

それと同時に、自分を律して節制しないと、ハメを外してあっという間にお金が飛んでいくのでは、とも思った。

第三に、うまいこと口説かれたから

上司と話しながら改めて感じたが、僕はおだてに弱い。それもかなり。

面談時は、「札幌に君の力が必要だ」というようなことを言葉巧みに伝えられ、自尊心をくすぐられっぱなしの、それはもう気分の良い時間であった。傍目には、ずいぶん和やかな談笑をしているように見えていたことだろう。

いやまぁ真面目な話、これが「お前はここに要らないから札幌に異動だ」と言われたのならそもそも(転勤の話ではなく自分という人間が)論外だったろうが、自分を能力的に評価してもらったうえで将来性のある道筋を示してくれたわけなので、その期待には応えてみたい、とも思った。

そんなわけで、ひとつやってみよう、と決意したわけだった。

ただ、これはあくまでその時点での自分だけの思いであって、帰宅後にはこの単身赴任の相談を妻にしなければならなかったのだ...

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